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2011-07-31 (Sun) 10:06

モラトリアム人間

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今日は、大人になりきれない若者達、大人になる準備期間を卒業できないと
いう事をお話します。

発達心理学のエリクソンという人は、青年期を少年少女から大人になるための
準備期間=モラトリアムと名付けました。モラトリアムとは、もともと経済用語で
支払い猶予期間を意味する言葉です。
大人として、社会の一員になるための準備をしてアイデンティティを確立する
ための猶予期間として使われています

いったいいつごろかと言いますと、男の子は声変わりや体毛の発達、女の子は
胸のふくらみや初潮といった身体的変化が現れてくるのが、小学校高学年から
中学生の頃です。この年齢の子供達は、両親から心理的に自立しようとしていく
時期です。12歳から20歳前半期を子供から大人へ、家族の中から社会へ、両親
への依存から自立へと成長する大切な過程です

現代社会は、このモラトリアム期間を卒業できない若者が増えている。青年
だけではなく大人の一般的な特徴にもなっていることから、そんな人達を
モラトリアム人間
と名付けた精神分析学者がいます。

モラトリアム自体は、悪いわけではないのですが、現代のモラトリアムは、
昔とは質が変わってきたようです。

昔のモラトリアム人間たちは、強い半人前意識を持っていましたから、一生
懸命努力して、早く一人前になりたいと思っていました。一人前になって早く
社会にでたいと思っていたわけです

修行の期間や学校に入ることを認めてくれた親や社会に対して、申し訳ないと
いう思いと、感謝の心を持っていました。
ところが、現代のモラトリアム人間たちは、親から仕送りを受けることを申し
訳ないとは思わず、当たり前だと思ったり半人前だという意識がありませんし
早く一人前になって社会にでようとは思わず、いつまでも親の世話になってい
たいと考えます

貴重なモラトリアム時代を生かせない人達は少なくないかもしれませんし
かつての若者達は社会と深くかかわる事を理想としていましたが、現代の
モラトリアム人間は、自己本位の思い込み失敗を認めない、周囲の批判に
ひどく傷つき他人と深く関わらないのが特徴です

モラトリアム人間が増えている理由として、12歳前後ですでに肉体的には
成熟した子供が増えている事、高学歴化により社会学習期間の延長、晩婚
などが理由としてあげられています。

アイデンティティとは青年期に、「自分とは何か」「これからどう生きていくのか」
「どんな職業についたらよいのか」「社会の中で自分なりに生きるにはどうしたら
よいのか」といった問いを通して、自分自身を形成していく時期です。
そして、「これこそが本当の自分だ」といった実感のことを自我同一性と呼びますが
このアイデンティティを形成できない若者が増えているという事でしょう


 
私が見てる大切なものと 目をつぶりたくなるような現実
毎日毎日 繰り返すけど それすべてが私を作り出してる


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Last Modified : -0001-11-30

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